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CUISINE STYLE
料理と食材距離の関係を考えるプロジェクトのコンセプト「ガストロリジョン」で食材を、全国有数の農水畜産県である熊本県内に限定したことで、花小町の料理を、熊本県産品や熊本地産地消の新しい体験として共感してくれる方が増えていきました。
オフィシャルサイト公開に合せて、料理哲学をガストロリジョンから「食域|美味しさの距離」に。その哲学を具体的に表現した花小町の料理スタイルを「シン熊本料理」とさせていただくことにしました。
「シン」は「新」「進」「深」「親」「心」の意味。熊本6つの食域の食材と、熊本郷土食から得たインスピレーションを、5つのシンから熊本独自の料理として産み出していくスタイルです。
花小町は熊本県内の郷土食文化に敬意と興味を持っています。熊本にはまだ知られていない郷土食があるからこそ、植木を含めた熊本の農水畜産レベルが高いからこそ、食材同士を活かすイノベーティブな調理法が導かれ「シン熊本料理」を産み出すことができると感じています。
これから花小町だけでなく、様々な人たちと連携しながら「シン熊本料理」を、ゆっくりと育んでいきます。熊本の地で、熊本の食材の料理を食べることの意味を、もっと多くの人と共有することを願って。
シン熊本料理のご紹介の中で、食材距離、関係する生産者や作家、歴史などを解説した料理地図をせひご覧ください。サムネイルから料理写真もご覧いただけます。

©hanakomachi SHIN KUMAMOTO CUISINE


料理の内容は撮影時の食材、料理となっています。季節や入荷状況で食材やアレンジが変わります。新しい料理も。詳しくはおたずねください。




食前の胃を熊本食材の根本となる素材で清らかにし、心を整える「雪(そそ)ぎ」三品。「水」は阿蘇を水源とする岩清水を、「大豆」は自家栽培の地大豆「ふくゆたか」を蒸したものを、「塩」は縄文時代にはすでに熊本にあった天草の海塩を。県内外にかかわらず、私たち熊本に住む者の食文化のルーツを少しでも感じ、その豊かさを再認識してもらうために。

食前の胃を清らかにし「土地の胃袋」として整える三品。「水」は阿蘇地下水を水源とする岩清水を、「大豆」は自家栽培の地大豆「ふくゆたか」を蒸しただけのものを、「塩」は縄文時代にはすでに熊本で使われていた、天草の海塩を、三つの禊の器でお出しします。県内外にかかわらず、私たち熊本に住む者の食文化のルーツを、少しでも感じ、その豊かさを再認識してもらうためのきっかけでもあります。器も、それぞれのイメージあった熊本在住の作家の器を使っています。




hors d’oeuvre hitosarano kumamoto
熊本の季節の食材の盛り合わせ。コンセプトは「KUMAMOTO ON A PLATE 一皿の熊本」。季節で食材が変わるので、写真はこの撮影(9月初旬頃)の時期の食材です。
真上から時計まわりに「トウキビ羊羹」「地物オクラ」「天草地たこのゼリー寄せ」「ぼっちゃんカボチャと自家製干し肉」「3日間火を通したヤマメの昆布巻き」「水前寺菜のお浸し」「自家製豆腐」「モロヘイヤのお浸し」「山椒香る自家製グリッシーニ」。シンプルな味だからこそ際立つ「食の熊本」を感じ、静かに期待が高まっていく、熊本四季の実力派前菜の盛り合わせです。



ayu daifuku
熊本を代表する川、白川、球磨川、菊池川流域では昔から鮎漁が盛んだった歴史がある。菊池川の伝統漁法オロ垣漁や甲佐町の簗場などを含め、独自の漁法も各地にあったが、今では川の鮎釣師にその面影を感じるぐらい。天然鮎となると、落ち鮎も含めてとても量が少なく、高価になるので、花小町では品質を高めた養殖鮎も現実的な選択肢にしています。写真の「鮎大福」の鮎は熊本県南部の川「氷川」の鮎。その鮎を一夜干しし、炭火でゆっくり焼いた後に解し、2年ものの自家製鮎魚醤を加えて餡に仕立て、求肥でくるみ、炭火で軽く焦げ目をつけると、ふっくりとした大福餅の姿に。ソースは鮎のフォンに山椒のニュアンスと小ネギ。濃縮された川鮎の餡が、熊本の山の恵みが濃縮されたやさしいソースに出会い、重なり合う。味の濃さという熊本郷土料理の特長と「いきなり団子」を始めとした熊本の伝統菓子文化へのオマージュを、爽やかに楽しんでいただける料理だと思います。



uni karashirenkon
どんな郷土料理でも、その土地を象徴する料理をアレンジするのは難しいもの。料理を作り、伝承してきた人の手と心が何百年も紡いできたものですから。その点「辛子蓮根」は特殊です。熊本の郷土料理となったのは明治維新の肥後藩秘伝のレシピ公開以降。庶民料理ではなく、肥後藩細川家の御殿様のための健康料理が出自です。そこから熊本の庶民は、できるだけそのレシピを守り、郷土料理として愛し、現在にまで伝え続けている。簡単に新しい要素なんて加えられない。
新しい視点。それは色です。蓮根の穴につめる辛子味噌の辛子は和辛子で、赤唐辛子とは別のいわゆる黄色いマスタード。加藤清正が朝鮮から持ち帰った説、日本に古代からあるオリエンタルマスタード説とか、物語や説は色々です。味噌は麦味噌、白味噌にしろどれも黄色系。揚げた衣の黄色は、卵の黄身とも、当時薩摩藩が薬草として流通させていたウコンとも、これも諸説あり。
どの説にしろ結果的に辛子蓮根は、黄色をアクセントにした美しいデザインとして今に伝わっている。その黄色をテーマに、熊本産素材をひとつひとつ吟味、探求し続け、最終的に選択したのが、3日間かけてつくった辛子蓮根と、海の濃縮した生命力の黄色を持つ天草の雲丹とのシンプルな出会い。でもとても熊本らしいと思いませんか。



konoshiro sandwich
「コノシロ|鮗」は熊本の不知火海、天草、有明海の一部沿岸各地で、正月や祝い事の郷土料理「姿寿司」として受け継がれている。鮗の字が表すように江戸前では冬が旬。熊本ではほぼ一年中穫れる。その反面、どこにでも、いつでもあるため熊本に住む人にとっては、いまいち面白みがない素材でもあるのです。
熊本でのコノシロ料理といえばほぼ酢締めで、これは独特の小骨を柔らかくして熟成させ、旨味が増す点ではもっとも合理的。シンプルだが、新たな調理法の隙がない。でも未知のポテンシャルを求めたい。
コノシロ=酸味の記憶がサンドイッチに結びつく。酢漬けニシンを使ったスウェーデンのInlagd sill(インラグドシィル)や、ドイツのBismarckhering(ビスマルクヘーリング)のように、コノシロの酢締をパン生地と一緒に食べるアイデアが膨らむ。「コノシロのサンドイッチ」これもまた合理的に思えた。
コノシロは天草産、熊本の米酢、自家製マヨネーズ、そして沢庵少々。微かな沢庵の甘さに、家族が集う郷土料理の懐かしさのニュアンスを感じてもらえるかも知れません。パンは今のところ質の高い自家製は難しいので町内の仲間の店のパンを使っています。



oninote koboshi chimaki
熊本県の北部の福岡県の八女と接する玉名や和水町エリアに伝わるチマキ。西南戦争時の西郷軍の携帯食「あくまき」が八女の郷土料理となり、熊本へ伝わったようです。熊本には鹿児島に近い人吉球磨地方にも郷土料理にチマキ(粽)「あくまき」があります。竹(孟宗竹が多い)の皮で包んで、蒸し上げるチマキ料理は、全国に「御強(おこわ)」と、甘い団子系の地域食文化、中華として残っているんですが、その中でも「鬼の手こぼし」の自然界の荒ぶる神さまの拳のような無骨な姿、そこから漂う、旨そうな世界観に強く惹かれてしまうのです。
チマキに似た蒸し料理は古代から東南アジア一帯にあり、縄文時代に塩が流通し、稲作があった古代熊本でつくられていてもおかしくない。(植木産)の餅米、黒米、熊本産の粟(あわ)、稗(ひえ)、栗、猪肉を近所でもらってきた野生の竹皮で包み、竹皮紐で結わい蒸し上げる。その後の竹の皮を開ける時のうれしさ。それも美味しさとしてお愉しみください。



ikinari karahirenkon pâté en croûte
パテ・アンクルート(pâté en croûte)は伝統的なフランス料理で、クリスマスにフレンチの店やデパ地下の惣菜で見かける、肉などのパテをパイ生地で包み焼いたもの。フィリング(詰物)、パイ生地、フォン(出汁)とジュ(肉汁)の行程には、かなりの時間と注意深さが必要で、フレンチ食職人の世界選手権も行われるほど。
その見た目、ヨーロッパなパテ・アンクルートに、いきなり辛子蓮根を入れて焼いてみた。「いきなり」は熊本の方言で突然・簡単・直ぐにの意味。語感のニュアンス的には「思いつき」もあるかなと思っています。熊本の郷土料理「いきなり団子」からのインスピレーションというより、熊本人独特の、大胆で無鉄砲なユーモアセンスへの愛情から生まれた料理と言うべきかも。直感でたどり着いた豚肉のパテと辛子蓮根の相性の良さ。サクっとしたパイ生地、肉汁が閉じ込められた豚肉と、蓮根と辛子味噌が奏でる誰も体験したことが無い食感と味覚。想像しただけで楽しくなりませんか?熊本らしいいきなりな美味しさです。



hiradago kumamoto umami pasta
熊本の郷土食の中でも、最近まで都市部の家庭の食卓にあがっていた「だご汁」。家庭ごとにその味は違っていて、小麦粉を捏ねた平たい団子(だご)に白菜、人参、大根などの季節の野菜や肉を合せて鍋に入れ、家の好みの地域の醤油か味噌で味が調えられる。 熊本の「だご汁」は他県にくらべて大きめの「だご=熊本弁で言う”かたまり”」なのが特長。子供の時は食べるのに悪銭苦闘したものです。場所によっては小麦が米粉に変わり、正月の雑煮の代わりにも。
花小町の自家製の小麦からつくった小麦粉に、水と塩を入れて捏ね上げると、だごと同じものができる。「ヒラダゴ 熊本うまみパスタ」は、そのだごをフェットチーネやタリアテッレと同じアルデンテの平麺にし、3つの熊本旨味素材「有明海の昆布」「天草牛深のイリコ」「熊本産トマト」の旨味が一体化した、出汁だけで味わうパスタ料理に仕立てたもの。麦粉のだご状のものは、小麦粉の種類や製法は違っても古代から世界共通の小麦料理の基本素材。後はどんな名前で呼ぶかです。パスタではあれど、平たいだごをさらに平たい麺にしたから「ヒラダゴ」。適切かどうかは分かりませんが、昔、熊本の台所で聞こえていた「だご」を手捏ねする音を、少しでも感じてもらえれば嬉しいです。



asogyu-beaf steak
阿蘇牛は日本神話の古代から続くと言われる和牛の品種「褐毛和種(あかげわしゅ)」。平安時代の「延喜式」に「二重馬牧」「波良馬牧」二つの官営牧場の記録があるそうです。熊本では長い間、赤(あか)牛と呼ばれてきました。今は複数のブランド牛となっていて、花小町では、完全にどの牛を選ぶかを固定するより、阿蘇の生産者との長年の付き合いと、肉質の目利きへの信頼から「阿蘇牛」と呼ぶのがいいかなと思ってます。
今連携している生産者の阿蘇牛は、阿蘇特有の火山由来の土壌「黒ボク土」で成長する牧草に加え、池山水源の豊かな水もその生育環境に中にある。赤身が多いながら脂肪分とのバランスが良いのが特長。その特長をもっと味覚に活かすために、ステーキに使う阿蘇牛はまず、東京の専門家に送り、20日間、厳しさと官能性の基準で管理しながら熟成。その後、熊本に送り返してもらってから調理にかかる。「藁焼き」は熊本に昔からある阿蘇牛の調理法であり保存方法。阿蘇の郷土食とも言える土地ならではの工夫です。
この藁焼きがステーキに与える個性と、肉の熟成感とマッチするように仕立てた自家製醤油ベースのソースが、全体としてシンプルな味わいの中に、阿蘇の草原が育んだ深い旨味を醸します。 地域の食材を使うのであれば、調味料も地域の食材で、と始まった自家製醤油作り。阿蘇産山村の井さんの阿蘇牛との相性が良く、いつしかステーキをソースではなく、醤油につけて食べて戴くスタイルができました。醤油の仕込み水も牛と同じ池山水源の水に変えたことで、水と醤油の関係性もより近くなったような気がします。熊本伝統料酒の灰持酒(あくもちざけ)を煮きった赤酒醤油ソースも、料理に合せて提案しているので、ぜひお試しください。毎年春に自家栽培の小麦を炒って、蒸した大豆、麹菌と混ぜ合わせた醤油麹で仕込んだ、2年ものです。